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ペットロス症候群

ペットロス症候群(ペットロスしょうこうぐん)とは、ペットとの死別を契機に発生する疾患ないし心身の症状のこと。

ペットロスは文字通り「ペットを失う事」である。ペットを失うと、様々な心身(精神的・身体的)の症状が起こる。これは、ペットと共に過ごす事によって培われた深い愛着・愛情が、突然に訪れるペットの「死」によって行き場を無くしてしまうことによって、引き起こされる症状だと解されている。もちろん、引き起こされる症状の程度については個人差が大きい。たとえば、子育てを終えた熟年夫婦にとってはペットが我が子同然の存在になっていることもあり、ペットを失ったショックもまた大きい。

ペットロス症候群とは、ペットとの死別というストレスが契機となって発症した精神疾患(症候群≒病気≒疾患)をいい、精神症状に付随して身体症状を伴う場合も少なくない。 最近、このような精神的・身体的障害が起こる原因として、飼い主のペットを伴侶動物(コンパニオンアニマル)としての位置づけが挙げられている。 日本では2000年代頃から注目を集めるようになったが、ペット産業の盛んな米国では1990年代頃より精神疾患の契機として重要視されるようになった。

日本では、内田百閧フ『ノラや』(1957年)が、ペットロス症候群という言葉さえなかったころの、同症候群に関する記述として注目される。

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代表的な精神疾患・症状

以下に、代表的な精神疾患、精神症状・身体症状の例を示す。

  • うつ病
  • 不眠
  • 情緒不安定、疲労や虚脱感・無気力、めまい
  • 摂食障害(拒食症・過食症)
  • 精神病様症状(ペットの声や姿が一瞬現れた気がする錯覚、幻視・幻聴などの幻覚や、「今に帰ってくるのではないか」という妄想など)
  • 胃潰瘍など消化器疾患(心身症)

このような、精神疾患や症状を精神分析的に説明すると、ペットとの死別という現象を受け入れられない場合の防衛機制の一種である逃避であるとも解釈されよう。他方、行動療法(行動医学)の基礎理論である刺激反応モデルによって説明すると、ペットの死という「刺激」に対する生体の「反応」ということになろう。

社会学的には、次のように説明されよう。つまり、近時の少子高齢化を背景に、ペットを生活上の伴侶として扱う(コンパニオンアニマル)人が増加している。ところが、ペットの寿命は10年程度であり、どうしてもヒトより短命である。このような人とのより深いかかわりを持つ動物の増加で、ペットとの死別という避けがたい出来事が、飼い主に深刻な影響を与えるケースが増加してきた。

軽度ないし遷延しない症状については、健全な精神性の発露とみなすことが可能ではあるが、健康を害するほどに悲嘆に暮れる状態は健全とは言えず、投薬を中心にして、必要に応じてカウンセリング等を併用する治療を必要とする場合もある。日本医師会では1ヶ月以上、悲しみが癒えずに不調が続いている場合に、受診を勧めている(外部リンク参照)。心療内科や精神科など専門医の受診も勧められよう。

臨床心理士などによる心理療法の分野では、喪失体験からの回復過程を援助するためのプログラム(グリーフセラピー)を行う心理療法家が存在する。

関連事象

この問題では、飼い主がもともと有していた依存的な性格傾向等を背景として、ストレスからの逃避として、アルコール依存症などの問題を引き起こすケースも見られ、米国では加えて薬物依存症に発展する問題も指摘されている。

これらはペットの死に対して、事故死による「あの時、外に出るのを防いでいれば」や、病死における「獣医に見せていれば」というケースにて、自分に責任があると感じて、後悔や自責の念から精神的に参ってしまう場合や、あるいは治療を担当した獣医師の診療ミスを疑って、他を攻撃する事で心痛を紛らわしたりというケースも見られ、特に民事訴訟が盛んな米国では、このような「医療ミス」として訴訟に至る事例も少なく無い。また、安楽死させたことについて自分の決断を長く悔やむ人もいる。 ペットの死で悩んでいることが周囲の人に理解されないという問題もある。

その一方で「死」という現象を受け入れるための儀式として葬儀があるが、日本でも次第にペット供養などのサービスも増加しており、これらの需要が少なくないことがうかがわれる。ペットロス症候群では、死別を不可避と考え、自分の中の気持ちを切り替えていくことも治療の一環と考えられるため、何らかの形で失ったペットとの絆に一つの区切りを設けるのも必要なのだろう。

ちゃんとペットの死を悲しむことで心の整理をつけることが大切である。このことをフロイトは「悲哀の仕事」と言った。

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